野沢は何かを考えるように間を置くと、
「…………あぁ、そうする」
と俺が押し付けた小説を手に持って、レジに行った。
「……」
どうやら本気に受け取ってしまったらしい。
誤解を解いた方がいいのだろうか。
でも、まぁいっか。
レシピ本を掴むと本棚に戻した。
……目当てのもの見つかんなかった、な。
手に持った本を持ちなおすとレジへ向かった。
「ありがとうございました」
野沢はレジにはもう居なかった。
先に帰ったのだろうか。腕時計で時間を確認すると、本屋を出た。
「あ、やっときた」
「あ、悪い。待たせた……な」
隣には見覚えのある双子の片割れがいた。
眉を潜める。
彼の近くに行くと、小声で話しかけた。
「なんでここにいるんだよ」
「買い物ですよ。先輩」
先輩のところを強調される。とても似ているが口調を聞く限り弟の方だ。
「もう一人はどうした」
「家で留守番。今日は寒いですからね。で、そっちは男同士でどうしたんですか?まあ僕にとっては関係ないことですが」
心なしか一つ一つの言葉に棘があるように感じる。
外で会うのは登校中以外では珍しい。
しかも片方だけで会うのは初めてかもしれない。いつも双子でセットだったからなのか、不思議な感覚だ。
あれ、敬語って使ってなかったような……。
しかし、……兄が居ないと素っ気ない。
双子の弟の新しい一面が見れた気がした。
「…………あぁ、そうする」
と俺が押し付けた小説を手に持って、レジに行った。
「……」
どうやら本気に受け取ってしまったらしい。
誤解を解いた方がいいのだろうか。
でも、まぁいっか。
レシピ本を掴むと本棚に戻した。
……目当てのもの見つかんなかった、な。
手に持った本を持ちなおすとレジへ向かった。
「ありがとうございました」
野沢はレジにはもう居なかった。
先に帰ったのだろうか。腕時計で時間を確認すると、本屋を出た。
「あ、やっときた」
「あ、悪い。待たせた……な」
隣には見覚えのある双子の片割れがいた。
眉を潜める。
彼の近くに行くと、小声で話しかけた。
「なんでここにいるんだよ」
「買い物ですよ。先輩」
先輩のところを強調される。とても似ているが口調を聞く限り弟の方だ。
「もう一人はどうした」
「家で留守番。今日は寒いですからね。で、そっちは男同士でどうしたんですか?まあ僕にとっては関係ないことですが」
心なしか一つ一つの言葉に棘があるように感じる。
外で会うのは登校中以外では珍しい。
しかも片方だけで会うのは初めてかもしれない。いつも双子でセットだったからなのか、不思議な感覚だ。
あれ、敬語って使ってなかったような……。
しかし、……兄が居ないと素っ気ない。
双子の弟の新しい一面が見れた気がした。


