それよりも気になることがあった。
今朝見た夢だ。
あれは一体誰だろう。夢に見た似て異なる――兄貴。
俺が今まで見てきた中でも、全く知らない兄貴だった。
顔さえ違えばきっと別人だ。
別の可能性があるとすれば――いや、それはないだろう。
どうしようもない胸の痛みに耐えられなくなってきたせいか、考えるのが億劫になってきた。
もう、寝よう。
疲れていたのだろう、考え過ぎてしまった。もう寝よう。そう思った瞬間、眠気に襲われた。
兄貴達は何をしているんだろう。
一瞬そんな考えがよぎったが、眠気に勝てるはずもなく。
そのまま身を委ねた。
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寝てからどれぐらい経ったのだろうか、うっすらと目を開くと、ぼやけた視界に入るのは時計だった。
時計は朝の9時を過ぎていた。
椅子で寝ていたせいか、肩や腰がとても痛かった。
少し体を動かすと、背中に乗っていたぬくもりが落ちていく。
「ん?」
振り返って見るとそれは毛布だったようだ。
もしかして兄貴が?
いや、そんなまさかな。
俺は部屋を出た。