妄想ガールの王子様

「え?そんなことないって……大丈夫だいじょーぶ」

日野くんはキツそうにしながら笑っている。

赤い顔、ふらつき、浅い呼吸……絶対そうだ!

『熱中症を甘く見てはいけないぞ!』

この間体育の授業で先生が言っていたのを思い出して、わたしは日野くんの腕をつかんだ。

「大丈夫じゃないよ!日野くん立って!日陰に行こう!」

「え?」

「ほら、早く!!」

わたしは中々立とうとしない日野くんに強く言うと体育館の影に彼を引っ張っていった。

そして鞄の中から冷えたスポーツドリンクを出して日野くんに差し出す。