「春田くん」

「ん?」

「日野くんがいて……よかったね」

わたしは素直にそう言った。

「……うん。日野はいい奴だな」

彼の明るさがわたし達をここまで連れてきてくれた気がする。

あの夜空に輝く夏の三角形みたいなわたし達……。

日野くんがいなかったらわたしは春田くんへの気持ちに気づかなかったかもしれない。

「そういえば梨乃」

「?」

「俺の名前。いつ呼んでくれるの?」

「!?」

そうだ……。

いい加減『春田くん』から『航也くん』へ変えないといけないのに……。