妄想ガールの王子様

「さっきハルが撮ってた夏の大三角形だけど……。
ベガとアルタイルは織姫と彦星なんだって」

そうして日野くんは輝く星を指した。

星は青く澄んだ輝きを放っている。

「へぇ……二つは結構離れてるんだね」

「そうだね……。
もう一つのデネブの方が織姫に近いところにあるのにね。それでも織姫は……」

日野くんはどこか悲しそうに言って、視線を星からわたしに移した。

「……梨乃ちゃん、聞いて欲しいことがあるんだけど」

日野くんは真面目な顏をして言う。

「ん?なに」

どうしたんだろう?日野くんがこんな顔をするなんて珍しい。