妄想ガールの王子様

「梨乃ちゃんも寝転んだら?気持ちいいよ~」

「うん。空が広く見えるよ」

二人に言われてそっと砂の上に体を預けた。

薄い紫色とピンクが混ざった空の色が段々と太陽に照らされて色を変えていく。

「あ~きれいだなぁ俺、こうやって空を見たのってどれくらいぶりだろ?」

日野くんがまどろむ様に言う。

「そうだね……空っていつもそばにあるけど中々見ないよね」

「うん。俺もそう思う。空ってその日、その時によって表情が違うからその一瞬を撮りたくてカメラ始めたんだよな」

春田くんは独り言のようにいって両手を空に伸ばした。