「ハル……」

後ろに立っている日野くんが春田くんの名前をポツリとつぶやいた。

その小さな声は波の音にさらわれ消えて行く。

わたしと日野くんは一心にシャッターを切る春田くんに圧倒されていたのかもしれない。

彼の追い求める世界が上手くカメラに収められているといい。

わたしは春田くんの横顔を見ながらそう思った。