『あんさ……』
「んー?」
『さっき、言い過ぎた? ごめんな』
「あ、ううん! あれは、あたしが悪かったよね。ごめんね?」
『おう、んじゃあ、な』
「え? それだけ言う為に電話してくれたの?」
『ん、梓衣気にしてるかなって思って』
「そっか、ありがと。じゃあ、ばいばい」
武ちゃんは、優しい。
すごくすごく優しい。
だけど、優しすぎて……
もっともっと好きになる。
もっともっと好きになって、
もっともっともっと胸が痛くなる。
武ちゃんからすれば、あたしは妹。
何度、自分に言い聞かせても、
あたしの気持ちが止まらない。
コントロール出来ない。
そばに居たいのに。
居ると我儘になる。
あたしだけの武ちゃんになって欲しくなる。
でも、
武ちゃんからすれば、あたしは妹なんだよね。

