「え?」
「だから……帰るなっつってんの」
「な、んで?」
「好きだから」
「……」
「好きだから、帰って欲しくないんだよっ」
ぶっきら棒に言うと、俺は梓衣の香りに包まれた。
ギュッと力いっぱいに俺を抱きしめて泣く梓衣。
そんな梓衣の背中に手を回した。
「武ちゃん……武ちゃんっ」
何度も何度も俺の名前を呼ぶ声。
「何?」
「……うぅ。好きっ」
「うん」
「大好きなのっ!」
「うん」
それを何度も何度も繰り返す。
優しく頭を撫で、梓衣を落ち着かせた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…