「あ、武ちゃん。外にタク来てるよ。あ、一人で行けるよね」
「ん。ありがと、助かったわ」
「うん、じゃね。いいクリスマスを~♪」
そう言って、女は席に戻って行ってしまった。
“いいクリスマスを”って。
今の時点でクリスマス、最悪なんですけど。
しかも“一人で行けるよね”って冷てぇなぁ。
送って行こうか? くらいの優しさが欲しいよなぁ。
あぁ、俺やっぱ酔ってるわ。
地下にある店の階段をあがる時点で吐きそう。
やっぱ、送ってって頼めばよかったかも。
まじやべぇ。
やっとの思いで、階段をあがり外へ出ると目の前に止まってたタクシーのドアが開いた。
フラフラの足で乗り込んだ、その時だった。

