【短編】俺の可愛い妹




空きっ腹に飲んだせいか、胃が痛くなってきて。


それなのに飲むから、いつもは中々酔わない俺でもさすがにキタ。


一人、トイレの前でしゃがみ込んで自分の情けなさを痛感した。



さっき、梓衣が座っていた席は店員が後片付けをしている。

時計に目をやると9時をさしていて、梓衣真面目じゃん。


ちゃんと帰ったんだ。


って、笑っちまう。



はっあー。
俺、何してんだか。



「武ちゃん、大丈夫?」



え!?



“武ちゃん”


そう呼ばれ、勢いよく顔をあげてしまい眩暈がした。

そこには、一緒に飲んでるメンバーの女が居て。



「酔ったー? もう帰るならタクシー呼ぼうか?」

「あー、うん」

「オッケィ。ちょっと待っててねー」



いくら酔ってるからとはいえ“武ちゃん”ただ呼ばれただけで間違えるなんて。


俺、だせぇ(笑)

声もわかんねーなんてな。

しかも、まだ9時だぞ?


それなのに酔って帰るとか、有り得ねぇし。



クリスマス・イブに何してんだよ、俺。