駐車場に停めた車のハザードがチカチカと点滅。



エンジンをかけずに座った車内は凄く静かで。

武ちゃんが、煙草を出す音がやけに大きく聞こえた。
エンジンをかけて窓を開けるだけで、体がビクッとする。


窓を開け、エンジンを切った武ちゃんは外へと煙草の煙を吐き出した。



「俺が、あいつらと行くと思った?」



俯いたまま、巾着の紐をイジるあたしの手が止まる。
低い声が更に低くて。



「なぁ?」



いつもみたいな優しい声じゃない。



「梓衣! 聞いてんの?」



ドキッと大きな音をたてた心臓。

ずっと潤んだままの目から、また涙が零れ落ちた。



「……チッ。反省してんだよな? 突然居なくなって」



溜息混じりの舌打ち。

無理矢理、優しくした声。


泣いたから、優しくしてくれるの?


小さく頷くと、大きな溜息が聞こえた。



「まじ心配するから、突然いなくなんな」



本当に心配してくれた?



「……うん」

「今日は梓衣と来たんだろ?
他の奴となんて消えねぇから」



あたしが居るってすぐに言わなかったのに?



「……うん」

「なら、わかるよな?」