その辺にあったベンチに座り、遠くから花火を見上げた。
せっかく来たのに、花火を見ないで帰るのも勿体ない。
それより、武ちゃんが探しに来てくれるかもしれない。
その期待が大きかったから。
やっぱり、あたしには武ちゃんしか居ないみたい。
例え、妹でも。
恋愛対象に見てもらえなくても。
あたしは武ちゃんが好き。
好きで好きで仕方がない。
ボーっと花火を見上げていたらラストになってしまったらしい。
さっきまでの声とは違った大きな大きな歓声。
止まることを知らないくらいに一気に打ち上げられる花火。
辺りが一瞬ライトが当たったかのように輝く。
そして、一気に暗くなり、立ち止まって見上げてた人々が動き始めた。
帰る人、また夜店に向かう人。
それぞれの方角に歩き出す。
でも、皆楽しそうに笑っていたんだ。

