その場に居れなかった。



その女の人達にあたしと来てるって言ってくれないんだね。

振り返らずその女の人と立ち去られたりしたら、あたしは絶対ここで泣いてしまう。



そう思ったら、武ちゃんに背を向けて歩き出していた。



何度も『すみません』そう言いながら、花火を見上げる人の隙間を歩いていった。


そのうち、だんだん涙が出て来て。


視界には、人の足と砂利しか見えないのに。
それすら歪んで見える。


そうして、人の輪から抜け出した時、初めて振り返った。


空にはキラキラ輝きながら打ち上げられる花火。
散っては咲き、散っては咲きの繰り返し。

その度に、大きな歓声が沸く。

その輪から1人ポツンと離れたあたしは、どうして泣いているんだろう。


さっきまでは、あんなに楽しかったのに。

どうして、こんなところで泣いているの。



せっかく頑張ったメイクだって、いくらウォータプルーフって言ったって落ちちゃうよ。



どうして、あたしは16なんだろう。
どうして武ちゃんは26なんだろう。



武ちゃんが好きなあたしと。
あたしは妹でしかない武ちゃん。




どうして?


あたしは、武ちゃんの隣に居ちゃ駄目ですか?