「逢沢、それ除けといて」
自分の机にある花瓶を睨みながら、私に言う辻谷那央。
…いやいやいや、私が花瓶除けたら、何勝手に退かしてるのってなるじゃん。
私は自然体を装い首を小さく左右に振った。
私の返答を見て彼はチェ、と小さく舌打ちをして、たむろしている男子の輪を覗くようにして宙に浮いている。
ホッとしていると、教室のドアから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「春乃ー、今日一緒に帰ろう」
短髪の黒髪で、いかにもスポーツしていますよ、って感じの男の人が手招きをしながらそう叫ぶ。
私は慌てて立ち上がり、私を呼んでいた彼の腕を引っ張り教室から少し離れた所へ連れて行く。


