私がそう質問すると辻谷那央は一旦立ち止まったが、また歩き出し、低い声で口を開いた。 「あの家には絶対帰らない」 低く、その声を聞いた瞬間、身体全身に鳥肌が立った。 そしてその瞬間思った。 彼に仮面を被させたのはクラスの人たちでも他の誰でもない、両親なのだと。 私はそれを聞いてそれ以上口を開かなかった。 お互い家に着くまで無言で、たったの数メートルの距離がいつもより長く感じた。 家の前に着き、玄関に入ろうとすると、制服のスカートの裾を後ろに立っている辻谷那央に掴まれた。