私の隣の幽霊くん。



私も二日前までは、辻谷那央の事を理想の王子様キャラだと思っていたから、彼が私に何を伝えたいのか痛いほどわかる。


「…うん、そうだよね。完璧な人間なんてこの世にはいないし、ね」


私がそう言うと、田邊くんは少し安心したように微笑んだ。


田邊くんの笑顔は辻谷那央の偽りのない笑顔と何処か似ているような気がする。


「じゃあ、俺こっちだから。気つけて帰って」


後、数メートルで私の家に着く距離で田邊くんとバイバイをする。


彼の後ろ姿を見ていると何故かいてもたってもいられなくて、勝手に口が開いてしまった。