私の隣の幽霊くん。



「あーあ。明日で本当に那央とお別れか」


夜空を見上げながらまた空笑いで田邊くんは静かに呟く。


田邊くんの空笑いはきっと、感情が表に出てしまわぬように抑えるためのものなんだろう。


笑っていないと涙が溢れ出てしまう。


「田邊くんと辻谷くんは本当仲良しだったんだね」


「あはは、仲良しってなんか照れ臭いけど、本当一緒に居て安心できるやつだったよ。中学の時は一緒に居すぎてホモとか言われちゃってさ。

幼稚園からずっと一緒だったから、那央が近くにいない環境なんてわかんなくて。今でも那央がいつもの意地汚さそうな笑顔で駆け寄ってくる気がしてさ」


そう言って田邊くんは私に、辻谷那央の意地汚さそうな笑顔を真似して見せた。