…そうか、今まで彼は女子からは何言ってもキャーキャー言われ、お誘いなんて断られたこともないし、ましてや拒否なんてされたこともないんだ。
男子にも冗談でしかのけ者にされたことがないから、私のこの態度が珍しいんだ…。辻谷那央って──
「…ドエム?」
そう考えた結果、私の中の彼がそういう答えになり、口に出てしまった。
声は小さかったが、その声は彼に聞こえてたらしく、爆笑をやめて私を睨みつけてきた。
その表情は朝見た彼のように怖く、私はビクッとしてしまう。
「…な〜んてな!ドエムじゃねぇよ。
ただ、雪斗と同じように俺に差別しないで接してくるお前が気に入っただけ」
仮面笑顔じゃない意地悪そうな笑顔で私にそういう彼。
また不覚にもドキッとしてしまい、顔が赤くなってしまう。


