私の隣の幽霊くん。



本当に嬉しそうに言う彼に、ふと疑問に思った事が勝手に口から出てしまった。


「…辻谷くんは、自分を殺した犯人が憎くないの…?寧ろ死んで精々してるの…?」


私がそう言った瞬間、彼は笑うのをやめてこちらを真顔で見てきた。


無神経な事を聞いてしまったと、謝ろうとした時、彼は宙に浮いたまま天井に視線を向け、口を開く。


「…実際わからないんだ。良い子の俺は卒業したかったけど生きてはいたかった。たった17年間の短い生涯しか生きれなかったんだ、当然恨んでると思うよ。

でも、別に犯人を殺したいとか苦しめたいとも思ってない。多分、こんな曖昧な感情があるからこの場に俺は居るんだと思うんだ…」


ポツリポツリ小さな声で話す彼は、どこか寂しそうで、苦しそうで。


無償に抱きしめたくなってしまった──。


「つ…」


一歩、彼の方へ歩み寄った時、ガラガラッと大きな音が教室に響き渡った。