お互い見つめ合ったまま、数秒沈黙が流れた。
先に沈黙を破ったのは私だった。
「…わ、私、霊感とか全然ないのに、辻谷くんの事は何故か見えてるんだよね!なんでだろ!あはは」
重い空気に耐えきれず、どうでも良い事をペラペラと喋ってしまった。
言った瞬間に後悔する。
…私、何言ってんだろ…。めっちゃ恥ずかしい奴じゃん…。辻谷那央、絶対引いてる…。
恐る恐る彼の顔を見ると、未だに驚きを隠せない表情をしていた。
それは無理もない。
自分が幽霊になった時点で、他の人には見えない存在になったのに、こんな身近に見えて話せてしまった相手が居たのだもの。


