その姿をジッと見てると、ゆっくり田邊くんがこちらを向き天井の方へ目線を向けた。 「なんか那央が居るような気がするんだよね…」 「えっ」 まさかの言葉にトボけた声が出てしまった。 一瞬変な雰囲気が流れたが、すぐに田邊くんが口を開き空気が戻る。 「あはは、冗談冗談。…じゃあ先に行くね」 田邊くんは悲しそうに笑い、静かに教室を出て行った。 シンと静まり返る教室。 教室には私一人と辻谷那央がひとり。