私の隣の幽霊くん。



それ以来、身近な死については何事にも悲しむようになってしまったらしい。


「…あ、ごめん、先行ってて。トイレ寄ってから行くね」


私がそう言うと、わかった、と言ってのあは教室を出て行った。


他のクラスメイトは、泣き止まない人は保健室へと行き、数分後には私と、一人の男子だけが教室に残った。


その一人の男子とは、唯一、彼がずっと一緒に居た田邊 雪斗(タナベユキト)だった。


中々立ち上がらない田邊くんに私は口を開いてしまった。


「た、田邊くん、移動教室しないの?」


逆に、お前もしないのか?と逆質問されるかなと思ったが、田邊くんの返答は違った。


「…いや、するよ。…なんか信じられなくて。那央が死んだって…。昨日までバカな事で笑って、一緒に帰って…。

なのに朝学校来たら死んだってなんだよってな…。ふざけるなって…」


そう言って田邊くんの瞳が涙でいっぱいになるのがわかる。