私の隣の幽霊くん。



「どうして那央が死なないといけないの…っ!?あんな完璧な人、全然いないのに…!」


倉野亜里沙は自分の机を何回も叩きながら取り巻きの櫻木あい(サクラギアイ)に怒りをぶつけていた。


「…那央くん…いやだよぉ」


「那央…まじかよ…」


「那央…昨日まで普通に居たのに…」


クラスの彼に向けての呼びかけが飛び交う中、当の本人は宙でそれを黙って聞いていた。


私からすれば彼はクラスの皆に愛されているんだなって、感動してしまうのだが、本人はそれを聞いて嬉しそうな素振りを一切見せずただそれを聞いているだけだった。


「…移動するか」


誰かがそう呟いたのを聞いて、周りの人たちもしぶしぶ立ち上がり、授業の為移動教室を始めた。


「春乃、教室移動しよ?」


私に涙を堪えた声で話しかけて来たのは、一番中の良い、遠山のあ(トオヤマノア)だ。


のあは辻谷那央の事は嫌いでも好きでもなかったが、人の死については人一倍敏感だ。


敏感な理由は、昔、自分のせいで兄が事故にあってしまい、亡くなってしまったから。