風間を待たずに、さっさと家に向かって歩いていると、少しして後ろから風間が走って追いかけてきた。





「お前、人待つってこと知らねーの?」


「知ってる」


「なんで待たない」


「知らん」


「な…」





あたしはさらにスピードを上げて歩く。






今日はもう疲れたから、さっさと帰って寝る。





そう思った矢先………






「待てバカ早川!」


「ぅぐあっ⁉」





後ろに振った腕をとられ、そのまま後ろからすっぽりと抱きしめられた。








………少し薄暗いのが救われた。





今、絶対恥ずかしい恰好になっているに違いない。







「……例えば、篠原の目の前でこういうことするとか」


「…っ」




耳元で囁かれたみたいで、あたしの体はびくりとなった。