「少し、染みるかもしれません」
傷に消毒液をつけると、一瞬ピリッと染みた。
「っい…」
「あっ、すいません!」
「いや…大丈夫です」
流れるように処置を終え、最後に絆創膏を貼ってくれた。
「ありがとうございます」
「いえ。俺の方こそ、怪我させてしまってすいませんでした」
そう言って、深々と頭を下げた。
…ひょっとしたらこいつ……
ヤツより何倍もいいやつかもしれない…。
「じゃあ、あたしはこれで」
体を反転させ、ドアに向かう。
「待ってください」
「え?」
呼び止められて振り返ると、近すぎる距離にそいつがいた。



