指差されたところをよく見ると、確かに、少しだけ赤くなっていた。
でも、こんな傷大したことはない。
こんな小さな傷を気にするほど、あたしは女子じゃない。
「いや、こんなの大したことないんで…」
「女の子なんですから、傷は放置してはいけません。それに、俺の気が済みません」
こいつはさも心配そうにあたしの手を見ている。
「行きましょう。ほら、保健室はすぐそこですし」
そんな善意を無駄にすることはできず、あたしはこいつと保健室に向かった。
「失礼します」
中に入ると、保健室の先生はいなかった。
「じゃあ、その椅子に座っててください」
言いながら、棚を開けたり閉めたりを繰り返している。



