そして放課後。
「…あのさ、瑠奈ちゃん。ちょっといい?」
今日から本格的に練習を始めるので、あたしは音楽科の先生にお願いして、音楽室を貸してもらっていた。
その時、後ろから篠原が声をかけてきた。
「…あ、篠原……音楽室、借りたから。練習はここで…」
「その前に、ちょっと話してもいい?」
「え…」
篠原はあたしの手を優しく握ると、隣の音楽準備室に入って行った。
篠原の手はすごくあったかくて、あたしはなぜか安心感を覚えた。
あたしを見る篠原の目も、なんだか優しい。
でも、あたしはすぐに目を逸らした。
優しい目を見ていたら、なんか、すぐに泣いてしまいそうだった。



