「………少しくらい、歌ってあげれば?」
あたしは、心にも思っていない言葉を風間の背中に言う。
「…………」
すると、風間は無言のまま振り返った。
そして、あたしの顔を真っ直ぐに見てきた。
それがあまりにも真っ直ぐすぎて、まさか振り返るとは思ってもみなくて、あたしは却って戸惑う。
「…っ!」
次の瞬間、風間の手がこっちに伸びたかと思ったら、あたしの制服のネクタイをぐっと引っ張り、顔を近づけてきた。
突然のことに、あたしはさらに戸惑うのと同時に、顔の近さに思わず顔を背ける。
認めたくないけど、この人は整った顔立ちをしている。



