風間はあたしの頭をぽんっと叩いて、「それでよし」と笑った。





「……ま、返事の仕方に多少の問題はあるけど」


「おいっ‼」



さっきのはいきなりでびっくりして、ついあんな変な感じに…っ‼





「……あぁ、大楠達のことは、あんまり気にしないでいいと思う。そんな気にしてる感じじゃなかったし」


「…ほ、ほんと‼⁉」


「あぁ。だから明日はふつーにしとけ」


「う、うん!」




言い終わると、風間はくるりと踵を返した。



「じゃあな」




あたしの家とは反対方向に歩いていく、いつもとはちょっと違う背中を見つめていた。





「…まっ、また明日っ!」



すでに人混みに紛れてしまった背中に、あたしは慌ててそう返した。



もちろん風間に聞こえるわけはなく、空気に溶けて消えて行った。