ハッと口を押さえた時には、もう遅い。
何かの合図と同時に、
2人の男子が殴りかかってくる。
「――えっ!?
ちょっ、待って!!たんま、たんま!!」
めぐはそう叫びながら、
驚くほど軽いフットワークで、パンチを避ける。
笑えるような話だが、
白神家の母が、習わせてくれていた合気道やなんかのおかげで、
いざというときの運動神経は鍛えられているのだ。
それでも、やはり男2人と女1人では、適うはずもなかった。
利き手らしい方のパンチを、顔で受けそうになる。
もうダメだ。と目をつぶっためぐの前に、
小さな風が起こる。
「―――待て!!」


