「………何の話が聞きたいの?」 しばらくの沈黙の後、恵君はそう返事をくれた。 思えば、これはめぐが東家に来てから初めて聞いた、 恵君自身の言葉だった。 恵君と初めての会話ができるかもしれない!! と、急にドキドキしてきた心臓に戸惑いつつも、 めぐは表面上冷静に聞いた。 「いっちゃんに毎朝何を頼んでるの? いっちゃんが教えてくれなかったんだけど」 「えっ」とつぶやいた恵君の顔が、次の瞬間、 驚くほどに赤くなった。 それを見て、めぐの心臓は更に暴れだす。