「ね、いっちゃん?」
めぐは衣千香に声をかける。
衣千香は、人が多いところでよくつまづくめぐに気をつけながら、耳を傾ける。
「何?」
「毎朝恵君が言ってる
『頼んだぞ』って、いっちゃんに何頼んでるの?」
「うーんとぉ。
内緒!!」
「えっ………教えて欲しいな」
めぐは驚いて、周りに気をつけるのを忘れ、向かいから来たサラリーマンにぶつかり、こけかける。
衣千香は慌ててめぐの手を引っ張りながら、
「衣千香が怒られちゃうもん、絶対教えない」
と言う。
これ以上衣千香に聞いても意味が無いと思っためぐは、話を終わらせ、人ごみをかきわけながら、学院へと向かった。


