私はいけない恋をしてしまったのか。

好きになってはいけない人を好きになってしまったのか。

私は池崎ひろ花。

東京生まれ、東京育ちの身長167センチの元気だけがとりえの大学3年生。

幼い頃から「元気だね」とか「身長高いね」と言われてきた。

勉強はハッキリ言って得意な方ではなく、どちらかと言うと歌とか走る方が得意だった。

大学だって第1志望も第2志望も落ちて、浪人するのも嫌だし浪人できる経済状況の家庭で育ってないから今の大学に在籍している。

家族は離婚した母と兄の3人家族。

そんな私がこんなに苦しむとは思わなかった。

私は今日もその人が来るのを楽しみにして、学校が終わってカフェでアルバイトをしていた。

カフェは都内のオフィス街にあって、お昼や夕方にもなるとスーツを着た会社員の人たちが
たくさん歩いている。

私がお店のドアが開く度ににワクワクした。

そしてその人はやって来た。

その人は30代後半くらいで身長が高く、ガッチリした体型。笑った顔が素敵でいつもシャツを着ていた。

その人が私のいるレジに来た。

「アイスのカフェラテですね!」

私はその人が注文する前に元気に言った。

「ありがとう」

その人は低い声で少し恥ずかしそう笑って、席に着いた。

するといつもの通り、バッグから答案用紙を出し採点を始めた。

その人は恐らく塾の講師なのだと思う。

いつもうちのカフェでこうしてカフェラテを飲みながら採点や授業の準備をするのだ。

私はシャツを着ていてもわかるたくましい体とシャイな笑顔と声、一生懸命な姿に惹かれていた。