色んな事を考えた。


柚は、今どんな気持ちでいるのだろう。


「柚‥」


いつの間にか日付が変わって、夜中の2時になっていた。


「ん‥海君まだ起きてたの?」


すぐそこにいるような柚の声。
俺はグッと涙を堪えた。


「俺さ‥」


決心したんだ。

君を悲しませたくないから。


「柚に会いに行くよ」


君がどれだけ素敵な人かを忘れたくないから。

そう決めたんだ。


(‥本当に?本当に会ってくれるの?)


きっと‥俺の中でではなく、本当の自分を見てほしい。


それが柚の願いだと思う。


「うん‥今度の休み、病院に行こう。」


(ありがとう‥海君)


そう言った柚は‥泣いていた。
俺にはいつの間にか、柚の表情が分かるようになっていたんだ。


「そのかわり、もう一度俺に‥」


俺は柚を失いたくない。

いつか‥

目を覚ました柚と、向かい合って話すことが俺の夢だから。


「必ず目を覚ますって約束してほしいんだ」


男が泣くのは格好悪い。

親父はいつも俺にそう言う。


けれど大切なモノを失いたくない時に流す涙は、格好悪い?


(‥うん!私頑張るから‥)


それなら俺は、格好悪くても構わない。