狐と花

 1人部屋に取り残された女は、急いであとを追って部屋をでる。

 部屋から出て気付いたが、ウタカタの家は、とても広い。
 中庭には、池がありとてもキレイだ。

 「あ、あの、ウタカタさん出かけるってどこに?」

 前を歩くウタカタはこちらをちらっと見て、

 「妖道り」

 と答えた

 「妖道り?」

 「そうだ、名の通り“妖しの道”だ」

 「なんでそこへ?」

 不思議に思った女は聞く

 「其方の、着物や下駄などを買うためだ」

 「えっ、そんないいです、このままで」

 「それに、其方のその長い髪もきれ」


 女は、黒く膝丈の着物に紅い帯というシンプルな格好で、それに伸っぱなしの黒髪。前髪に至っては、目が隠れるほど長く毛先もバラバラだ。

 「私は別にこのままでもいいのですが••」

 「俺が買ってやりたいんだ。いいから行くぞ」

 「は、はい」

 

 話をしているうちにいつのまにか玄関についたようだ

 ウタカタは振り帰ると、紙のようなものを投げる

 -??-

 「其方の前髪では必要ないかもしれんが、一応付けておれ」

 いつの間にか、ウタカタの顔にも昨日と同じ紙がつけてある

 それを見て、女も自分の紙を顔に付けて外へ出る