『やっぱりお前と結婚なんてしなきゃよかったよ俺は』 そう言って出ていったお父さん。 『沙良みたいに可愛い子に生まれてればなぁ』 困り果てた顔で言われたその言葉が時々心臓を チクチクチクチクして。 あのときわたしは震えながら泣いたっけ。 沙良みたいに。 沙良は。 沙良だから。 そんな言葉が大嫌いになった。 何にも特別なんかじゃないのに。