「うっせ、昼飯行くぞ」
「はーい!」
沙良はなぜか嬉しそうに俺の手を掴む。
「炊き込み御飯とか秋のもの良いよね」
「味覚がババアだなお前」
「季節のものにババアも何もないでしょ!?」
うるせえ、超うるせえ。
「辛いもんはNGだからな!」
「わかってるよ、どんだけ苦手なの」
「黙れ」
言い返すと、案外すんなり黙った。
「ごめん、調子乗った」
目に入ったのは、秋の味覚と売り出してる店。
「あそこにすっぞ」
「え、高そうなんですけど」
「無一文できたわけじゃねえし、つーか誰が彼女に払わせるかって」
沙良の手の力が強くなった。

