「ね、晴紀。ちょっとトイレ行ってくるね」 「ああ、行ってこい」 沙良の後ろ姿を見ながら。 気が緩んだ。 自分でもこんなに気を張っていたのかと、少し変な気分になるほど 俺は眉をひそめた。 正直普段はデートなんて適当だし、寧ろ学校生活よりも身だしなみなんて知ったこっちゃない。 学校にはいつだって睨みをきかせてくるアイツがいるから。