乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】



―――1年後…



穏やかな春の陽気に包まれたこの日。


あたし達は結婚式を挙げた。


純白のドレスを身にまとったあたしはバージンロードの前に立つ。

目の前の大きなドアが開かれる前…


隣にいた母が緊張していたあたしの手を握った。


「…お母さん」


「奈緒、幸せになりなさいね」


「…うん」


そのお母さんの目は赤く染まっていて、胸が熱くなった。

握られた手はすごく温かくて、あたしはこんなにも愛されてるんだって事に気づく。

すれ違っていた時期は長かったけど、この約4年間で本当の親子の愛を育んでこれた。


今日、あたしは陸さんの元へと旅立つ。

陸さんがくれた大きな羽をつけて。


ドアが開かれると大音量の生演奏と共に母と一歩を踏み出した。