乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】



せっかく職場まで来たんだから、陸さんの働きっぷり見たいよね。


親方さんが上を見上げて陸さんの名を呼んでいる。

その視線の先には、陸さんがいた。


二階の、ちょっとの幅しか足場がない所に立っている。

あたしは驚いて声が出なかった。


あんな所でいつも作業してるの!?

しかし陸さんも周りの人達も、全然平気そうな顔でさくさく歩いている。

あたしはそわそわしながら見ていた。

親方さんに声を掛けられ、陸さんが降りてくると、ようやくあたしの存在に気づいた。



「お、お疲れさま…」


まだ心臓がどきどきしている。

こんな仕事だったなんて…おちおち見てられないよ…



「お疲れ。今江に会った?」


「あ、うん!いると思わなかったからびっくりしちゃった」


「ハハッそうだと思って言わなかった」