ヒステリックを起こしたみたいに、地団駄を踏む男を無視して、私は彼女の傷をなんとかしようと必死で手当てをする



「お前ぇぇ!!!俺を無視するなぁぁぁ!!!」



がっと、私の腕を掴み上げる男



「煩いっ!!!人が目の前で死にかかってるのっ!!!邪魔すんなっ!!!!」



言葉や手段なんて選んでられない


私は豚男を投げ飛ばしていたーーー




その時、遠くから声が響くーーー




「1億ーーー」



は?



「あ…あの…今、お客様、1億とおっしゃいましたか?」



実況の男が目を白黒させている



「こんな時に、まだこんな茶番が続いてるの!?」



私は大声で、誰か分からない遠くの人に叫ぶ



「不服かい?なら…2億積もうじゃないか…」



立ち上がった男は銀髪の長髪をなびかせ私を見下ろすーーー




まだ続いてるの!?いい加減にしてほしい




私は無視して、しろちゃんを抱き上げたーーー



ここにはもう、誰も私達の味方なんていないーーー



そう思って会場を後にしようとした時




「相変わらずお前は、面倒事が大好きなんだなーーー」



え?



懐かしい、声が聞こえたーーー