「じゃあ遠藤先生、私は瑠璃夏の学校の方に行ってきますわ。瑠璃夏をお願いします。」
「はい。瑠璃夏ちゃんは僕がしっかりと責任を持ちます。」
ママが病室をでて、先生も病室を出ようとした。あたしはその先生の腕を掴んだ。
「あ、の。瑠璃夏ちゃん?」
「あたしは…あたしはどこか悪いんですか?あたし元の身体に戻れますよね?」
先生の腕を掴んだまま、あたしは声をあげた。
先生はすこし怖っていた。
あたしにはすぐに分かった。
ママがあたしに言わないようにと口止めしてるんだ。
そんなにあたしに言いたくないの?
「もしかして、ママに何か言われてるの? 」
「瑠璃夏ちゃんのお母さん、とっても綺麗な人だね。モデルさんか何かだったの? 」
……。
「もういい。ママは二十歳までモデルしてた。でも今は学校のPTA会長をしてる。」
ママはいつだって自慢のママ。
綺麗で美人で…。
でもね、そんなのあたしは嬉しくないんだ。
先生が病室を出ていった。
