俺の負けが確定したのは、陽萌が倒れたらしい日から2日後。
もともと勝ち目なんてないと分かりきっていたけれど。
生渕さんと一緒に俺のアトリエにやってきた陽萌は少なからず幸せそうで。
そういうことなのかな、なんて思っていた。
「ね、陽萌。」
会社に戻る2人を見送ろうと玄関扉の外側に立ち、社用車に乗り込んだ生渕さんを眺めながら言った。
「何?」と返す陽萌は不思議そうだ。
「今度の男、面白いじゃん。」
負けたよ、生渕さん。
「…うん。」と言う陽萌が幸せそうだから。だから、俺はそれでいいや。
「加藤!」
「はい、今行きます! ではまた、ミナトさん。」
車に向かって走り出した陽萌は、俺を振り返ることはなかった。
陽萌。
大好きな陽萌。
陽萌さ、言ったよね。
『…湊は、分からないよ。本気なのかも、適当なのかも。』
俺ね、本当に本気だったんだよ。
陽萌のことでいい加減だったことなんて1つもない。
だから、これからも俺は陽萌のことなら本気になれる。
これからは本気で願うよ。
陽萌の幸せを。
もともと勝ち目なんてないと分かりきっていたけれど。
生渕さんと一緒に俺のアトリエにやってきた陽萌は少なからず幸せそうで。
そういうことなのかな、なんて思っていた。
「ね、陽萌。」
会社に戻る2人を見送ろうと玄関扉の外側に立ち、社用車に乗り込んだ生渕さんを眺めながら言った。
「何?」と返す陽萌は不思議そうだ。
「今度の男、面白いじゃん。」
負けたよ、生渕さん。
「…うん。」と言う陽萌が幸せそうだから。だから、俺はそれでいいや。
「加藤!」
「はい、今行きます! ではまた、ミナトさん。」
車に向かって走り出した陽萌は、俺を振り返ることはなかった。
陽萌。
大好きな陽萌。
陽萌さ、言ったよね。
『…湊は、分からないよ。本気なのかも、適当なのかも。』
俺ね、本当に本気だったんだよ。
陽萌のことでいい加減だったことなんて1つもない。
だから、これからも俺は陽萌のことなら本気になれる。
これからは本気で願うよ。
陽萌の幸せを。