陽萌の手を握る手とは反対の手で、場所を教えてもらったときに授けられたリモコンを手に握る。



「……陽萌。」



繋いだ手をぐいと引き寄せると、陽萌は俺の腕に寄り添う形になった。




「……こんなに惚れ込むなんて、思ってなかった。」



溜め息を溢すようにふっと笑う。柄にもなく、少し緊張してしまう。

悟られないよう必死だが、内心はそれどころではない。


けれど、陽萌を前にすると、自分のそんな緊張なんてどこかへ吹っ飛んでしまう。



「俺はこれからもずっと、お前と……、陽萌と、生きていきたい。」

「源…。」



今だと、手に握ったリモコンのスイッチを入れた。

とその瞬間、辺りが明るくなった。


目の前には石造りの教会があって、それに取り付けられた電飾が輝きを放つ。


日中に下見と仕込みに来たが、夜、こうして点灯すると格別だ。そう思ったのは、陽萌も同じだったようだ。



「……綺麗。」



リモコンを握っていた手をポケットから出すと、陽萌の繋いでいない方の手を、空いたその手で握って陽萌に向き直った。