出張先に向かう車の中、早速眠りについた加藤に驚きつつ、その寝顔を盗み見た。

あどけないその寝顔は、25女のものとも、ましてや課長補佐を務めているとは思えないほどで。


加藤を家に泊めたときのことを思い出しつつ、やはりその寝顔に見入っていた。



寝た罰だと言わんばかりに、目を覚ました加藤に「いびきかいてたな。」と言ってやれば、大慌ての加藤。

そんな加藤が可笑しくて可愛くて、つい笑みを溢せば、加藤が固まる。


恐らく、冗談を言ったことと、笑ったことに衝撃を受けているんだろう。



それからも加藤は腹を鳴らしてみたり、1人で丼を食べに行くこともあると言ってみたり。

その自由さと大胆さでどこまでも俺を楽しませてくれた。




「問題なしでよかったですねー。」



チェックインしたホテルの俺の部屋で、なざかチューハイを呑む加藤が言う。


コイツは…、酒に弱いくせに、どうしてこうも無防備なんだ。

そう思いつつもビールを呑みながらネクタイをほどいている俺もどうかと思うが…。



「課長のスタンスって、あれですか。鬼になることでも、憎まれ役になることでもなくて、公私混同禁止、ですか。」