加藤を家に送り、社に戻るやいなや、会社のすぐ側の公園に風間を呼び出した。



「加藤が、出先で倒れた。」

「……!」

「心当たりは、あるな。」



そう尋ねると、黙りこくった風間は、ただ自分の革靴の爪先をぼんやりと眺めていた。



「絶対、お前からは加藤に近付くな。少なくとも、この土日は。」

「…分かりました。」

「それだけだ。」



引き金を引いたのは、俺なのかもしれない。そう思いながらも、この男を許せそうになかった。


どうして、加藤をもっと思ってやれないんだ。あんなにも細っこくて、華奢で、儚げで、弱いのに。


風間のことだから加藤を訪問しかねないと、加藤の見張りも兼ねて、今泉を加藤の元へ行かせた上で、こうして風間に釘を刺した。

それは果たして吉と出るか、凶と出るか。



月曜から、加藤と2人で1泊2日の出張だ。

仕事には下心も、ましてや私情なんて持ち込むつもりはないが…。


どうしても心が浮わついてしまうのは、否定のしようがない。