開口一番にプライベートな言葉が飛び出したのを聞いて、思わず間抜け面を晒しそうになった。

(な、に……?)



「すっ飛んできたからそうなのかと思ったよ。違うなら構わないんだが…。」

「違いますが…、それが何か…?」

「寝苦しいかと思ってね、胸元のボタンを少し、外したんだ。」



と、ボタンを外す仕草をする。



「そしたら、見えてしまったんだ。」



軽く加藤にかかった布団をはぐると、加藤の胸元が見えた。

そのとき思わず、俺は息を飲んでしまった。


加藤の胸元から少しだけ覗く、おびただしい量の独占欲の象徴。これが胸元一面に広がっているのかと思うと、少し恐ろしくなった。



「もしも彼女の彼を知っているのなら、止めるよう言ってくれないか。気の毒でならんよ…。」



その言葉を聞いて、本間さんは加藤に惚れているのだと、確信した。

そして、この人は恐らく俺の気持ちにも気づいていて、俺に加藤を託そうとしているのだと。


俺はただ、頷くことしかできなかった。