佐倉志麻(さくらしま)は大学生の一人娘唯(ゆい)と夫である秀尚(ひでなお)との三人で暮らす平凡な主婦である。




「あっ、お母さん私今日は合コンで帰りが遅くなるから、夕ご飯いらないからね。宜しく!」
  と、そう唐突に朝食のトーストをほおばりながら唯(ゆい)が言った。




「あらそうなの?」




「うん。じゃお母さん行って来ます」
  と食事を終えた唯は素早く身支度を整えると、志麻に軽く手を振り玄関のドアを開けて元気良く外に飛び出した。