「蒼井ちゃん、ありがとね。」
「……名字にちゃん付けはやめてください。」
うちは顔をしかめた。
「ん、そう?んじゃ凛ちゃんで。」
「なんで名前に飛ぶんですか。」
「なんで凛ちゃんは敬語なの?」
「は?それは…宮野…くんと、あまり話したことないんで……」
すると、唇に、宮野の人差し指が当たっていた。
宮野が意味深な顔をして、近づいてくる。
「俺の名前、真夏って言うの。知ってる?」
うちはコクンとうなずいた。
「んじゃあ、真夏って呼んでよ。じゃないと凛ちゃんって呼ぶよ?」
いつの間にか、指が離れていた。
顔だけが近い。
角度によっては、キスをして見えるんじゃないかというほどに。


